重い病を持つ患者さん・ご家族のこころとからだの苦痛の緩和
緩和ケアは、重い病(生命の危機に直面する疾患)を持つ患者と家族」を対象とし、「苦痛の予防と緩和を通して患者と家族のQOLの向上を目指すことを専門とした分野です。一言で言えば、1)こころとからだの苦痛症状の緩和、2)重い病を持つ患者さんやご家族とのコミュニケーションが専門ということになります。
人材育成
地域で、「いつでも、どこでも、誰でも、必要な時に」専門的な緩和ケアを受けることができるようにするためには、人材育成が重要です。緩和ケアを専門とする医師は非常に少なく、高齢化の進行もあいまって、緩和ケアを担う専門家の育成は迅速かつ重点的に対応することが必要な課題です。私達の部門では、緩和ケアの専門家が活動する場である緩和ケア病棟、急性期病院での緩和ケアコンサルテーションサービス(緩和ケアチーム)、診療所等での在宅緩和ケア、の3つの場での研修を準備し、「がん疾患」だけではなく、心不全、呼吸器疾患、神経疾患など非がん疾患にも幅広く対応できる緩和医療専門医の育成に力を入れています。重い病を持つ患者さんやご家族が、価値観に沿った治療やケアを受け、生活を続けていくことができるように、特にコミュニケーションの教育に重点を置いて、専門家の育成を行っています。
研究の位置づけとその実践
重い病をもつ患者さんと家族の苦痛に対する治療やケアの質やコミュニケーションをさらに向上させるためには、臨床研究を行うことが必要になります。新たな苦痛緩和方法の開発やより良いコミュニケーションの方法の開発、心不全患者・透析患者さんの緩和ケアに関するニーズの同定などの研究を進め、目の前の患者さんご家族のケアにその結果を反映させていきたいと思っています。また、世界の緩和ケアのさらなる発展のために、これからの研究を実践していく若手研究者の育成にも力をいれれていきたいと考えています。