ごあいさつ

 本分野は、2004年4月の筑波大学附属病院緩和ケアチームの設立に端を発し、2021年4月に附属病院緩和支持治療科が設置され、同6月に医学医療系 緩和医療学分野が設立されました。
 従来より、筑波大学附属病院緩和ケアチームは、前述したように2004年から大学病院の先陣を切って緩和ケアコンサルテーション診療を開始し、治療中から専門的緩和ケアを必要に応じて並行して行う、いわゆる腫瘍学と緩和ケアの統合を進めてきました。年間の新規コンサルテーション数は入院で約330件、外来で約230件であり、全国でも有数のアクティビティーを持っています。
 数少ない緩和ケアを専門とする大学の講座・部門として、地域における緩和ケア診療の要となる役割を果たすとともに、人材育成と本領域の研究に力を尽くしていきたいと思っています。
 私達の講座・部門は以下のミッションとビジョンを持って活動してまいります。

ミッション:

重い病をもつ患者さん・ご家族の苦痛の緩和を通して生活の質を改善し、診断・治療中から終末期に至るまで、病気とともに充実して生きることを支援する。

ビジョン:
  1. 「がん」はもちろん「心不全」、「呼吸不全」、「腎不全」など疾患を問わずすべての重い病を持つ患者さんとそのご家族に対応すること
  2. 患者さん・ご家族の問題を身体的、精神的、心理社会的な側面などから多面的に評価するとともに、患者さんやご家族が大切にしたいことをお伺いしながら、最適な治療やケアの方法を提案すること
  3. 看護師、ソーシャルワーカー、リハビリテーションスタッフ、薬剤師、精神科医、心理師、栄養士などとチームを組み、患者さんやご家族のニーズに応じて多職種チームで対応すること
  4. 患者さんやご家族が望んだ場所で治療・療養が継続できるように、地域の緩和ケアを実践とした医療福祉従事者と連携して継続的にケアを提供すること、また地域の医療福祉従事者の緩和ケアに関する相談を受けること
  5. 患者さんやご家族が、どこに住んでいても適切な緩和ケアを受けることができるように、緩和ケアに関する教育を実践すること、特に緩和ケア専門家の育成に力を入れること
  6. 患者さんのこころとからだの苦痛緩和や生活の質をさらに向上させるために、緩和ケアに関する研究を実施すること

2023年3月
筑波大学医学医療系緩和医療学
筑波大学附属病院緩和支持治療科
教授 木澤 義之